
「社会人から大学はやめとけ」という言葉を耳にしたことはありませんか?
学費や時間の制約、仕事や家庭との両立を理由に、大学進学を止める声は少なくありません。
しかし一方で、学士の取得や専門知識の習得がキャリアアップに直結するケースも多く、全員に「やめとけ」が当てはまるわけではないのも事実です。
重要なのは、進学の目的を明確にし、費用対効果(ROI)と継続可能性を冷静に判断すること。
さらに、国の修学支援制度や教育訓練給付を上手に活用すれば、負担を大きく下げることも可能です。
本記事では、「やめとけ」と言われる理由とその誤解を整理し、社会人が大学進学で後悔しないための判断基準と、大学以外の学び直しの選択肢まで徹底解説します。
・学費や機会費用を含めた進学コストの実態
・通信制・夜間・昼夜開講などの学び方の違いと向き不向き
・大学進学と代替策(資格・職業訓練・JMOOCなど)を比較した判断基準
社会人から大学はやめとけは本当?理由と誤解を徹底整理

「社会人から大学はやめとけ」という言葉の背景には、学費や時間の負担、仕事との両立の難しさといった現実的な課題があります。
しかし、通信制大学や夜間・昼夜開講制、長期履修といった制度を活用すれば、学び直しのハードルは下げられます。
まずは“やめとけ”の根拠と、その中に含まれる誤解を整理し、社会人にとって大学進学が実際にどのような意味を持つのかを確認していきましょう。
『社会人から大学はやめとけ』と言われる主な理由とは?
「社会人から大学はやめとけ」という言葉には、いくつかの現実的な根拠があります。
もっとも大きいのは、時間の確保の難しさ・学費の負担・キャリア効果の不透明さです。
社会人は既に仕事や家庭を抱えており、授業や課題に割ける時間は限られています。
通信制大学でもレポート提出やスクーリング(対面授業)が必要で、計画的に学習を進められなければ途中で挫折してしまうケースも少なくありません。
次に問題となるのが費用です。
国立大学でも授業料は年間53万5800円(標準額)、私立大学では年間90万円前後が平均で、4年間で数百万円規模の支出になります。
加えて「退職して進学」する場合は、学費だけでなく機会費用(失う給与)が重くのしかかります。
例えば年収400万円の人が私立文系に4年間専念した場合、学費約360万円+失う給与1600万円=約2000万円規模のコストとなり、進学後に年収が大きく伸びなければ回収が難しい投資です。
これらの負担を整理すると、以下のようにまとめられます。
| 主な理由 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 時間不足 | 仕事・家庭と学業の両立が難しい | レポート・試験・スクーリングに時間が取れない |
| 学費負担 | 国公立でも数百万円、私立はさらに高額 | 国立:約240万円、私立文系:約360万円(4年間) |
| 機会費用 | 在学中に失う給与収入 | 年収400万円×4年=1600万円の損失 |
| 成果不透明 | 学士が昇給や転職に必ず直結するわけではない | 卒業後も収入が変わらない可能性 |
つまり、「やめとけ」という言葉は単なる否定ではなく、時間と費用に対するリターンが見えにくいリスクを警告している声といえます。
ただし、この理由は裏を返せば、目的を明確にして制度を活用すれば克服できる課題でもあります。
学費と機会費用を比較すると本当に損なのか?
「社会人から大学はやめとけ」という意見の裏には、学費だけでなく機会費用という大きな要素があります。
学費とは授業料や入学金といった直接の支出ですが、機会費用とは「大学に通うことで失うはずの収入」のことです。
在職しながら学ぶ場合は学費中心の負担で済みますが、退職して進学する場合には給与がゼロになるため、コストは一気に膨らみます。
国立大学の授業料は年間53万5800円(標準額)、私立大学では年間90万円前後が平均です。
4年間通えば、国立は約240万円、私立文系では約360万円、私立理系では500万円を超えることもあります。
これに生活費を加えると、実際の負担はさらに増大します。
一方で機会費用を考えると、退職して進学する場合の総コストは桁違いです。
例えば年収400万円の社会人が4年間専念した場合、学費360万円に加え失う給与1600万円を合算すると約2000万円規模の投資になります。
これを回収するには、卒業後に年収が大幅に伸びる必要があります。
下表は「在職進学」と「退職進学」でのコスト比較です。
| 進学パターン | 学費(私立文系4年) | 機会費用(失う給与) | 総コスト |
|---|---|---|---|
| 在職+通信制 | 約36万円/年 ×4年=144万円 | ほぼゼロ | 約144万円 |
| 在職+夜間部 | 約90万円/年 ×4年=360万円 | ほぼゼロ | 約360万円 |
| 退職+通学 | 約90万円/年 ×4年=360万円 | 400万円×4年=1600万円 | 約1960万円 |
この比較からも明らかなように、「退職して進学」は数千万円単位の機会費用を伴うため、リスクが極めて大きい選択です。
逆に在職のまま学べる通信制や夜間部であれば、コストは数百万円に抑えられ、回収の見込みも立てやすくなります。
つまり「損か得か」は働きながら進学するのか、それとも退職して進学するのかで大きく変わるのです。
通信制・夜間・昼夜開講の違いと誤解を解説

社会人が進学を検討する際に選びやすいのが、通信制大学・夜間部・昼夜開講制の3つです。
しかしネット上では「通信制は学歴にならない」「夜間は就職で不利」といった誤解も少なくありません。
実際には、いずれの課程も学校教育法に基づいた正規の大学課程であり、卒業すれば「学士(大卒)」の学位が取得できます。
就職活動や転職で「大卒資格」として正式に扱われる点に違いはありません。
では、実際にどのような違いがあるのでしょうか。
ポイントは授業スタイル・時間の自由度・対面要件の3点です。
通信制はオンラインやレポート中心ですが、年数回のスクーリング(対面授業)が課されます。
夜間部は平日夜間に通学するスタイルで、都市部勤務者には現実的ですが、地方在住者には難しい場合もあります。
昼夜開講制は昼・夜どちらの授業も履修できるため、シフト勤務の社会人や子育て世代に柔軟な仕組みです。
以下に比較表を示します。
| 学び方 | 授業形態 | 時間の自由度 | 対面要件 | 向く人の例 |
|---|---|---|---|---|
| 通信制大学 | 自宅学習中心+スクーリング | ★★★★ | 必須(年数回) | 地方在住・在宅勤務・子育て中 |
| 夜間部 | 平日夜の対面授業 | ★★ | 必須(毎週通学) | 都市部勤務・就業後に学びたい人 |
| 昼夜開講制 | 昼/夜の科目を自由選択 | ★★★ | 多くは対面 | シフト勤務・不規則勤務の人 |
この比較からもわかるように、形式ごとに特徴と向き不向きが存在します。
「通信制は学歴にならない」というのは誤解であり、むしろ柔軟性が高く社会人に適した制度です。
夜間や昼夜開講も「通える距離・勤務形態」と合致すれば強力な選択肢になります。
つまり「やめとけ」と一括りにするのではなく、自分の生活スタイルに合った制度を選ぶことが肝心です。
社会人が大学を途中で挫折する原因と対策は?
「社会人から大学はやめとけ」という声の背景には、実際に途中で挫折してしまう人が一定数いる現実があります。
通信制大学の卒業率は通学制に比べて低く、継続できない大きな要因として時間不足・モチベーションの維持・スクーリングや課題の負担・サポート不足が挙げられます。
社会人は仕事や家庭との両立を優先せざるを得ないため、突発的な残業や家族の事情で学習時間を削られることが積み重なり、気づけば進級や卒業に必要な単位が足りなくなるケースが多いのです。
しかし、こうした課題にはあらかじめ準備できる対策があります。
具体的には「学習時間のブロック」「モチベーションを支える仕組み」「スクーリングの事前調整」「学習支援制度の活用」が効果的です。
下の表に原因と対策を整理しました。
| 挫折の原因 | 内容 | 有効な対策 |
|---|---|---|
| 時間不足 | 仕事・家庭に追われ勉強が後回し | スケジュールに学習時間を先に固定(カレンダー化) |
| モチベーション低下 | 孤独学習で目的を見失う | 学習仲間を作る・SNSや科目別コミュニティに参加 |
| スクーリング負担 | 土日や平日の通学が難しい | 事前に年間日程を確認し、有給・家族と調整 |
| 課題・レポートの多さ | 納期直前にまとめて対応し失敗 | 1科目ずつ前倒し提出、週ごとに進捗を管理 |
| サポート不足 | 教員・事務局との接触が薄い | 学習支援センターや担任制度のある大学を選ぶ |
このように、挫折は「本人の努力不足」というよりも、仕組みや環境設計の不備に起因することが多いのです。
入学前にスクーリング頻度や学習サポートの内容を確認し、自分の生活に合う大学を選べば、途中で投げ出すリスクを大幅に下げられます。
つまり「やめとけ」という声は、事前準備なしに飛び込んで失敗する人が多い現実を反映しているにすぎません。
大学進学でキャリアにプラスになるケースはある?
「社会人から大学はやめとけ」と忠告される一方で、大学進学が明確にキャリアにプラスとなるケースも存在します。
特に効果が大きいのは、学士(大卒)資格が必須条件となる職種への転職や昇進を目指す場合です。たとえば企業によっては「応募条件が大卒以上」と明記されており、専門学校や短大卒では書類選考すら通過できないケースがあります。
このような場面では、大学進学がキャリアの扉を開く最低限の条件になります。
また、研究職や教育職、公務員の一部区分のように、大学卒業や大学院進学が前提とされる職種もあります。
社会人経験だけでは到達できない領域であり、学位の取得そのものがキャリアアップの必須要素になるのです。
さらに、専門性の高い分野(福祉、心理、情報、看護など)では、大学でしか得られないカリキュラムを修めることで、資格取得や専門職就職のルートが開けます。
以下の表に、大学進学がキャリア上で大きな意味を持つ代表的なケースを整理しました。
| キャリア目標 | 大学進学の効果 | 具体例 |
|---|---|---|
| 応募条件が大卒以上 | 書類選考通過の必須条件 | 事務系総合職、金融、メーカー本社職 |
| 昇進要件に学位が必要 | 社内昇進試験の受験資格 | 公務員管理職、教育関連企業 |
| 専門職・資格取得 | 大学のカリキュラムが必須 | 社会福祉士、臨床心理士、看護師 |
| 研究職・教育職 | 学位・研究歴が前提条件 | 大学教員、研究機関職員 |
| 公務員試験(区分) | 大卒区分で受験可能 | 国家公務員総合職、地方上級職 |
このように、大学進学は「ただ学び直す」以上に、職業選択やキャリアアップのルートを広げる投資になり得ます。
逆に、現在の職種で学位が不要であれば、大学に行かずとも資格や職業訓練で十分にスキルアップできることも多いのです。
つまり「やめとけ」と一律に否定するのではなく、自分のキャリア目標と大学で得られる成果を照らし合わせることが重要だといえます。
社会人から大学はやめとけ|後悔しない判断基準と代替策

大学進学が向いているか否かを判断するには、「目的の明確化・費用対効果・継続可能性」という3つの軸が欠かせません。
さらに、国の修学支援新制度や教育訓練給付を利用することで、学費やリスクを抑えられる可能性があります。
また、大学進学にこだわらなくても、資格取得や職業訓練、オンライン講座(JMOOCなど)といった代替手段も存在します。
この章では、後悔しない進学判断のための具体的な基準と、大学以外の学びの選択肢を提示します。
大学に行くべき社会人・やめとくべき社会人の違いは?
「社会人から大学はやめとけ」という意見がすべての人に当てはまるわけではありません。
むしろ大学進学が合理的な選択となる人もいます。ポイントは、目的の有無・必要性の高さ・学習環境の適合度です。
まず「大学に行くべき社会人」とは、大学でしか達成できない目標を持っている人です。
具体的には「大卒資格が昇進や転職の応募条件になっている」「専門資格(社会福祉士・臨床心理士など)の受験に大学卒業が必要」「研究職や教育職を目指して学位が必須」といったケースが挙げられます。
この場合、大学進学はキャリアの必須ステップであり「やめとけ」という助言は当たりません。
一方で「やめとくべき社会人」とは、目的があいまいなまま学費と時間を投資しようとしている人です。
例えば「なんとなく学び直したい」「資格やキャリアに直結しない分野を漫然と学ぶ」場合、途中で挫折したり、卒業しても収入や職務に活かせず、費用対効果が見合わない可能性が高くなります。
さらに、家庭や仕事の事情で学習時間を十分に確保できない人も現実的には続けにくいでしょう。
以下に、大学進学の適性を整理しました。
| 判断基準 | 行くべき社会人 | やめとくべき社会人 |
|---|---|---|
| 目的の明確さ | 昇進・転職・資格取得など具体的 | 目的が漠然としている |
| 必要性 | 学士が応募・資格の必須条件 | 学歴が直接関係しない職種 |
| 学習環境 | 家族・職場の協力で時間確保可能 | 残業・家庭都合で時間が取れない |
| 費用対効果 | ROI(投資回収)を試算済み | 費用や制度を調べず感覚的に進学 |
| 学び方 | 通信・夜間・昼夜開講などを吟味 | 形式を考えずに入学を検討 |
このように、「やめとけ」が妥当かどうかは個人の目的と環境によって180度変わります。
大学でしか到達できないゴールがあるなら進学を選び、逆に必要性が低いなら別の学び直し手段を検討するのが賢明です。
修学支援新制度や教育訓練給付の活用方法とは?
「社会人から大学はやめとけ」といわれる大きな理由のひとつが、学費の高さです。
しかし実際には、国や大学が用意している経済的支援制度を活用すれば、負担を大きく軽減できます。
特に注目すべきは、高等教育の修学支援新制度と教育訓練給付制度の2本柱です。
まず、修学支援新制度は、授業料や入学金の免除に加えて返還不要の給付型奨学金を組み合わせた仕組みです。
2020年に開始され、2024年度からは中間層や理工農系学部、多子世帯などへの支援が拡充されました。
JASSO(日本学生支援機構)のシミュレーターを使えば、自分が支援対象かを事前に確認できます。
次に、雇用保険を活用した教育訓練給付制度があります。
特に「専門実践教育訓練給付」では、指定講座に通う社会人に対し、受講費の50%(年間上限40万円)を給付、さらに修了+資格取得で20%上乗せされます。
2024年10月以降は、修了後に給与が5%以上上昇した場合に追加で10%給付される新制度も導入予定で、最大80%まで国が負担してくれる仕組みになります。
これらの制度は併用も可能であり、さらに大学独自の長期履修制度を組み合わせれば、学費を分割して支払いながら在学年限を延長できるため、家計や勤務と両立しやすくなります。
以下の表に制度のポイントを整理しました。
| 制度 | 内容 | 上限・給付額 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 修学支援新制度 | 授業料・入学金の減免+給付型奨学金 | 区分に応じ減免(収入基準あり) | 世帯収入・進学先が対象校 |
| JASSO奨学金(給付) | 返還不要の奨学金 | 支給額は収入・成績基準で変動 | シミュレーターで事前確認可 |
| 専門実践教育訓練給付 | 受講費50%+修了で20%+給与増で10% | 年上限40万円+追加給付 | 雇用保険要件・指定講座のみ |
| 長期履修制度 | 在学年限を延長し学費を年額分割 | 総額は基本同等 | 大学の承認が必要 |
このように「学費が高いからやめとけ」と単純に考えるのではなく、制度を組み合わせれば数十万〜数百万円の負担軽減が可能です。
進学を検討する際は、まずこれらの支援制度をチェックすることが第一歩といえるでしょう。
仕事・家庭・学業を両立させる具体的な時間管理術

「社会人から大学はやめとけ」という意見の背景には、学習時間が確保できず挫折してしまう人が多い現実があります。
社会人は仕事、家庭、学業の3つを同時に抱えるため、タイムマネジメントが成功の鍵です。
ポイントは「時間の塊」と「隙間時間」を意識的に組み合わせること、そして学習予定を先に生活に組み込むことです。
まず、学期が始まる前に大学の年間スケジュールを確認し、スクーリング(対面授業)や試験日をカレンダーにブロックします。
仕事や家庭の予定はその後に調整する形をとると、学習が後回しになるリスクを減らせます。
次に、レポートや課題は「締切直前にまとめる」のではなく、週単位で小さな進捗を積み上げるのが効果的です。
さらに、耳学習(講義の音声を通勤や家事の合間に聴く)やスマホでのテキスト閲覧など、隙間時間の活用も重要です。
特に通信制大学では、オンデマンド授業を倍速再生しながら復習することで効率が大きく上がります。
また、大学によっては長期履修制度を利用して履修科目数を減らし、負担を平準化する方法もあります。
以下に、両立を成功させる実践テクニックを整理しました。
| 課題 | 時間管理の工夫 | 効果 |
|---|---|---|
| スクーリング参加 | 年間日程を先にカレンダーへ固定 | 家族・上司と早期調整が可能 |
| レポート提出 | 週単位で小分けに執筆 | 締切直前の負担を回避 |
| 隙間時間学習 | 通勤中は音声、家事中は動画倍速 | 学習時間を1日1〜2時間上乗せ |
| 長期履修制度 | 履修科目を少なく配分 | 仕事・家庭と無理なく両立 |
| 在宅勤務活用 | 在宅日に試験や課題に集中 | 移動時間を学習へ転換 |
このように、両立のカギは「時間を作る」よりも「時間を先に確保し、環境を設計する」ことにあります。
やめとけという声に流されるのではなく、自分の生活リズムに合った学習法を取り入れることで、社会人でも十分に大学を続けることが可能です。
大学進学より効率的?資格・職業訓練・JMOOCの選択肢
「社会人から大学はやめとけ」という言葉は、大学進学だけが学び直しの道ではないことを示しています。
実際、キャリアアップやスキル習得が目的なら、資格取得や職業訓練、オンライン学習といった代替策の方が短期間で効果的な場合もあります。
まず注目すべきは、厚生労働省の専門実践教育訓練給付制度です。
対象講座に通う社会人には、受講費の50%(年上限40万円)が支給され、修了+資格取得でさらに20%上乗せされます。
2024年10月以降は、修了後に給与が5%以上上昇した場合に追加で10%給付が受けられるようになり、最大で費用の80%を国が負担します。
これにより、医療・福祉・IT・ビジネス系資格などの取得コストを大幅に下げられます。
また、近年はオンライン学習(MOOC)も充実しています。
代表例として日本版MOOCのJMOOCがあり、大学や専門機関が提供する大規模公開オンライン講座を無料〜低額で受講できます。
PythonやAI、データサイエンスなど、社会人に需要の高いスキルを短期間で学べる点が魅力です。
さらに、大学進学に近い形で学士を目指す場合は、放送大学のように低コストで柔軟に履修できる仕組みもあります。
科目ごとに学習を進め、必要に応じて2年次・3年次編入を活用すれば、正規の学士号を得ることも可能です。
以下に、大学進学と代替策の比較を整理しました。
| 学び方 | 特徴 | メリット | 向く人 |
|---|---|---|---|
| 大学進学 | 学士取得、幅広い教養 | 学位が必須の職種に対応 | 昇進・転職で「大卒」が条件 |
| 資格取得 | 国家資格・専門資格 | 収入やキャリアに直結 | 看護師、社労士、情報処理など |
| 職業訓練 | 実務スキル養成 | 給付金でコスト低減 | 即戦力を身につけたい人 |
| JMOOC | 無料〜低額オンライン講座 | 最新スキルを短期間で習得 | 忙しい社会人、IT・データ分野希望 |
| 放送大学 | 科目単位の履修+編入 | 低コストで学士取得可 | 柔軟に学びたい社会人 |
つまり、「学位が必要」な人にとっては大学進学が不可欠ですが、「スキルが必要」な人にとっては資格や職業訓練、JMOOCの方が効率的です。
やめとけという助言は、こうした目的と手段の不一致を避ける警告と考えると理解しやすいでしょう。
まとめ|社会人から 大学 やめとけを信じる前に考える判断軸

「社会人から大学はやめとけ」という言葉は、確かに現実的なリスクを含んでいます。
しかしその忠告を鵜呑みにする前に、自分にとって大学進学が本当に必要かどうかを冷静な判断軸で整理することが大切です。
本記事で取り上げたポイントを振り返ると、大学進学が成功につながる人と失敗につながる人の分岐は明確に見えてきます。
後悔しないための判断軸
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目的の明確化:学士が必要か、スキルが必要かを区別する
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費用と機会費用の試算:学費だけでなく、在学中に失う給与も含めて総コストを把握する
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学び方の適合度:通信制・夜間・昼夜開講・長期履修など、自分の生活に合う制度を選ぶ
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支援制度の活用:修学支援新制度や教育訓練給付を組み合わせ、数十万〜数百万円単位で負担を軽減する
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時間管理の仕組み化:スクーリング日程を先に固定し、隙間時間を積み上げて継続力を確保する
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代替策の検討:資格取得、職業訓練、JMOOC、放送大学など、大学以外の手段とも比較する
つまり「社会人から大学はやめとけ」という意見は、目的が曖昧で準備不足な人には正しいアドバイスですが、目的と環境が整っている人には当てはまらないのです。
大学進学はゴールではなく、あくまでキャリアや人生を広げるための手段のひとつです。
進学か、資格か、職業訓練か──自分に最も投資対効果の高いルートを見極めて行動すれば、やめとけに惑わされず、納得のいく選択ができるでしょう。
【2025年版】研究職で派遣はやめとけ?経験者が語る後悔と成功の分かれ道
一発試験はやめとけの理由とは?合格率5%の落とし穴と失敗しない戦略
参考文献
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高等教育の修学支援新制度|文部科学省
授業料・入学金の免除・減額と返還不要の給付型奨学金による支援制度で、多子世帯や理工農系など2024〜2025年度にかけて拡充されています。 -
教育訓練給付金(専門実践教育訓練給付制度)|厚生労働省
働く人のキャリア形成を支援する制度で、受講費の大部分(最大80%)を補助する給付制度の改正内容が詳しく掲載されています。 -
教育訓練給付制度の指定講座検索システム|厚生労働省
実際にどの講座が対象になっているか検索できる公式システムで、制度の活用を検討する際に役立ちます。

