近視の人が老眼になったらどうする？メガネ・手術の選び方

40代以降になると、多くの人が「老眼」の症状を感じ始めます。

しかし、もともと近視だった人は、「老眼になったらどうなるの？」と疑問に思うことが多いのではないでしょうか。

実際、近視の人が老眼を迎えると、見え方や生活スタイルにさまざまな変化や悩みが生まれます。

たとえば、「メガネを外すと近くは見やすいけど、遠くがぼやける」「どんなメガネを選べばいいか分からない」「コンタクトや手術は使えるの？」など、不安や疑問も増えてきます。

この記事では、「近視の人が老眼になったらどうする？」という疑問に徹底的にお答えします。

メガネの選び方や最新の治療方法、日常生活で気をつけたいポイントまで、分かりやすく解説していきます。ご自身やご家族の目の健康に役立つ情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。

近視と老眼の違い・仕組みを分かりやすく解説
近視の人が老眼になると見え方はどう変わる？
近視＋老眼の悩み、どう対策する？
メガネの選び方：遠近両用・中近・近用などの特徴比較
1. 選び方のポイント
コンタクトレンズや手術の選択肢
日常生活で気を付けたいこと・目のケア方法
近視の人が老眼になったらどうする？メガネ・手術の選び方（まとめ）

近視と老眼の違い・仕組みを分かりやすく解説

人間の目は、レンズ（水晶体）のピント調整によって遠くや近くを見る能力をもっています。

近視は、網膜より手前に焦点が合う状態です。遠くのものがぼやけ、近くのものは見やすい。
老眼は、水晶体の柔軟性が低下し、ピントを合わせる調整力が落ちることにより、近くがぼやける状態を指します。

つまり、もともと近視で近くは見えていた人も、老眼になると遠くも近くも見えづらいというダブルの状態になります。

これは一般的に「近視＋老眼」と呼ばれ、以下のような状況が起こります。

状態	遠くを見る時	近くを見る時
近視のみ	ぼやける	はっきり見える
老眼のみ	はっきり見える	ぼやける
近視＋老眼	ぼやける	同様にぼやける

加えて、焦点調整の負担が増え、目の疲れ（眼精疲労）が生じやすくなります。

次のセクションでは、実際に「近視と老眼が同時に起こると見え方がどのように変化するか」を掘り下げていきます。

近視の人が老眼になると見え方はどう変わる？

近視の人が老眼を迎えると、「見え方」にどのような影響が出るか、以下のポイントで詳しく見ていきましょう。

1. 近くの焦点距離が広がる感覚

若い頃は、近視の度があっているメガネをかけると、近くも遠くもほぼ問題ない状態でした。
しかし老眼になると、水晶体が硬くなってピント調整ができにくくなるため、近くの読書やスマホ操作でも文字がぼやけます。
メガネを外すと、近くは見やすいけど、その状態では遠くがぼやけるため、一長一短な見え方になります。

2. メガネをかけ外しすることが増える

「本は裸眼、外出時はメガネ」という切り替えが必要なため、日常生活でのストレスや手間が増えます。
車の運転や買い物中に、度が合わなくなり急に視界がぼやけて焦るケースもあります。

3. 中間距離が見にくくなる場合も

パソコンや車のカーナビを見る距離（手前から2〜3 m）は、老眼初期では見えやすいですが、進行するとその距離も見えづらくなることがあります。
パソコン作業などが中心の方は、「近くと遠くの両方が中距離で中途半端に見づらい」と実感しやすいです。

4. 眼精疲労・頭痛・肩こりのリスク増

焦点調整に目の筋肉を過剰に使うため、目が疲れやすく、頭痛や肩こりに繋がることが増えます。
特に長時間の作業では、目の痛みや重さを感じやすくなります。

近視＋老眼の悩み、どう対策する？

近視と老眼が重なると、見え方の悩みは多様になります。ここでは代表的な悩みと、その具体的な対策をご紹介します。

悩み①「メガネをかけると近くが見えない、外すと遠くが見えない」

対策：遠近両用メガネの活用
- レンズ上部で遠く、下部で近くを見る構造。普段使いに非常に便利です。
対策：2本持ち
- 「遠用メガネ」と「老眼鏡」を使い分ける方法。費用は安めですが、持ち替えが煩雑です。

悩み②「パソコンとスマホ、どちらも見にくい」

対策：中近両用レンズ（室内用）
- 中距離から近距離に焦点を合わせやすく、室内作業や読書に適しています。
対策：リーディンググラス併用
- 老眼鏡とデスク用中間距離用を併用し、用途別に最適化が可能です。

悩み③「外出中に視界が切り替えられなくて不便」

対策：調光レンズ付き両用メガネ
- 紫外線に反応して色が変化し、屋外でも快適。遠近両用に光学コート付きで便利です。
対策：調整可能なコンタクトレンズ
- 多焦点コンタクトを使えば、メガネを使わずに済み、外出時も視界が切り替わりやすいです。

悩み④「できるだけ自然な見え方にしたい」

対策：視線移動だけで見たい距離を使える“プログレッシブレンズ”
- 遠中近対応で、見え方が自然。デスクから散歩まで切り替え不要ですが、初め少し慣れが必要です。
対策：レーシックやICL手術＋老眼用補正
- 手術により近視を矯正し、術後も老眼が進行した際は読書用の軽補正を加える方法です。

メガネの選び方：遠近両用・中近・近用などの特徴比較

近視と老眼の両方を補うメガネには、目的やライフスタイルに合った種類があります。以下の表で主要なタイプを比較してみましょう。

メガネタイプ	利点	注意点
遠近両用メガネ	遠くも近くも一枚でカバー、買い替え費用少	レンズ下部が狭く、慣れに時間がかかる場合あり
中近両用（室内用）	スマホ・パソコン作業に最適	視野が狭く、遠くはほとんど見えない
近用老眼鏡	広い近距離視野、読書に快適	遠くは裸眼か遠用メガネとの併用が必要
プログレッシブレンズ	遠中近に対応、自然な視線移動が可能	価格が高めで、装着と視線の位置に慣れが必要
調光（フォトクロミック）両用レンズ	外出時に便利、紫外線でレンズ色が変化	屋内では透明、屋外では色付きになる特徴がある

選び方のポイント

使用シーン別に選ぶ
　日常の室内中心なら「中近両用」が最適。運転や買い物が多い方は「遠近両用」や「プログレッシブ」がおすすめです。
慣れやすさと価格のバランス
　遠近両用・プログレッシブは精密加工が必要で高価格ですが、自然な視線移動が可能です。初めは「中近」から試すと比較的慣れやすく、予算も抑えられます。
追加機能の有無
　反射防止・ブルーライトカット・調光などは、目の負担を軽減するので日常生活で目をよく使う人には有効な選択肢です。
フレームの選び方も大切
　レンズ位置が視界に直結します。特に両用系では、顔にフィットして視線移動がスムーズになるフレーム選びがキーです。

コンタクトレンズや手術の選択肢

近視に老眼が加わると、「眼鏡以外の選択肢」も気になりますよね。ここでは、コンタクトレンズと手術の代表的な方法を分かりやすく解説します。

コンタクトレンズ

多焦点（バイフォーカル・トリフォーカル・プログレッシブ）コンタクト

両眼で遠近両方をカバーできる設計。滑らかに遠・中・近を切り替えられる「プログレッシブ」タイプもあります jscrs-lasik.org+8totsuka-suzuki.com+8eyeclinic-tokyo.jp+8。
メリット：メガネより自然な視線移動で使用できることが多く、装用中の視界が広いです。
注意点：見え方に“チラつき”や“ゴースト”がある場合もあります。慣れに時間がかかることも。

モノビジョン

片目を「遠く用」、もう片目を「近く用」に合わせる方法 senshinkai-clinic.jp。
メリット：簡単に試せ、片眼で調整後、慣れれば自然な視界。
注意点：立体視や夜間運転で視覚の差が出やすく、全員に合うわけではありません。

手術による視力調整

レーシック・ICL + 老眼対策

レーシック：角膜を削ることで近視を矯正。ただし老眼そのものは水晶体の硬化が原因なので改善は不可能
ICL（眼内コンタクトレンズ）：角膜を削らずに水晶体の後ろにレンズを挿入し視力矯正。強度近視に適し、角膜が薄くても実施可能

遠近両用レーシック／Laser Blended Vision

レーシック技術を使い、「遠・中・近」の見え方をバランスさせる先進手術も存在
長所：眼鏡やコンタクトなしで度数調整が可能に。短所：施術対応が限られ、安定まで期間を要する場合あり。

多焦点眼内レンズ（IOL）＋白内障手術

白内障のある50代以降の方には、レンズを交換しながら遠中近すべてを補う多焦点IOLという選択もあります
長所：一度の手術で複数の距離に対応。短所：自費診療が多く、光のハロー・グレアが発生する可能性もあります。

✅ 比較まとめ（表形式）

方法	メリット	注意点
多焦点コンタクト	自然な視線移動、装用感良好	慣れや光学的アーティファクトあり
モノビジョン	試しやすく調整期間が短い	立体視・夜間視に影響の可能性あり
レーシック・ICL	眼鏡・コンタクトからの解放	老眼対策は別に必要
遠近両用レーシックなど手術	メガネ不要で遠近に対応	費用・技術・術後調整の必要あり
多焦点眼内レンズ＋白内障	遠中近一括対応、長期的に安定	光の副作用、自費が多い